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どこかに行きたい休日
いきなりだけど、わたしの休日の朝は早い。
午前3時には自然と目が覚めてお腹がグルグル鳴る。トイレにも行きたい。
だいたいはこの2セットで気持ちよく(?)起床する。
体を起こし無心でトイレに直行。スッキリしたら即、朝ごはんづくり。笑
朝ごはんを食べながら考えることと言えば、ほぼ決まって「今日はどこ行こうかなぁ?」だ。
すぐスマホを手に取って「現在地」と検索する。
でてきたGoogleマップさんを心のままに移動させる。
地図上で色んなところを旅しながら、その時気になった場所に狙いを定める。
要は直感で決めるタイプだ。笑
この日は「北鎌倉駅」の文字に惹きつけられた。
たしか何年か前、円覚寺に行ったときに北鎌倉駅で降りたなぁと、かすかに記憶に残っていて久しぶりにまた行きたくなった。
そうだ、北鎌倉へ行こう。←ん?
さだまさし(グレープ)さんの楽曲「縁切寺」
北鎌倉駅周辺を調べてみるとたくさんのお寺で囲まれているのがわかる。
以前訪れた円覚寺から、光照寺・東慶寺・浄智寺・長寿寺・海蔵寺明月院・建長寺…
神社より圧倒的にお寺が多い。
お寺、お寺、お寺…とひたすら考えていたらある曲が頭に浮かんできた。
それは、さだまさし(グレープ)さんの「縁切寺」。
高校生の頃、叔父の持っていたグレープのカセットテープを聴いてからドハマリしたわたし。中でも「縁切寺」は特に好きだった。(なんて渋い高校生!)
たしかあの曲の始まりは
「今日鎌倉へ行って来ました」
即わたしは「鎌倉 縁切寺」と検索をかけた。
そして見つけたのがここ。
東慶寺だ。
今の今まで縁切寺という名称のお寺が実在するのだと思っていたわたし。今回調べて初めて東慶寺が縁切寺なのだと知った。
グレープの「縁切寺」を聴いていなければおそらく気になっていなかったであろう東慶寺。
いきなり思い出したのには何か縁があるんじゃないか…と、わたしは東慶寺に行ってみることにした。
東慶寺に行って来ました
JR北鎌倉駅から徒歩5分
JR北鎌倉駅を降りて西口の自動改札を出る。
両側に可愛らしいカフェやらお蕎麦屋さん、鳩サブレのお店が佇んでいる。左に曲がり県道21号を道なりに進むと、すぐ左側に円覚寺が現れさらに進むとやがて右側に東慶寺の正面入口が現れる。
ほんの5分もあれば迷うことなくたどり着ける。
正面には奥へと続く階段があって両側を緑に囲まれ、なんだかかなり興味をそそられる。
基本情報 〒247-0062 神奈川県鎌倉市山ノ内1367(JR横須賀線 北鎌倉駅 徒歩4分) Tel. 0467-22-1663 / Fax. 0467-22-7815 御朱印・宝物館・売店 9:00〜16:00
女性の駆け込み寺としての役割をしていたお寺
東慶寺の開創は鎌倉幕府第八代執権北条時宗の夫人「覚山志道尼(かくざんしどうに)」。
離婚に関して今では女性から別れを告げるなんて当たり前だし、どちらから切り出そうと問題にはならない。
でもこの時代の女性にはそんな自由はなかったんだよなぁ。
東慶寺は鎌倉時代の弘安8年(1285)に開創された臨済宗円覚寺派の寺院です。女性から離婚できなかった封建時代に、当寺に駆け込めば離縁ができる女人救済の寺として明治に至るまでの600年間、縁切りの寺法を引き継いできました。…
歴史 — 東慶寺のこと — 北鎌倉 松岡山東慶寺 (tokeiji.com)
今でこそ「花の寺」として、誰でも四季折々の花を楽しみに自由に出入りできるようになっているけど、歴史を知ると奥へと続く長い一本道にも重みを感じる。
今でいう相談支援センターや民間シェルターなどの役割を果たしていたんだろうか。
そんなことを考えながら先に進む。
緑豊かな境内
奥へ進めば進むほど緑も深くなっていく。心が洗われるような気持になっていく。
平日で到着が遅めだったこともあってか、境内にはあまり人がいない。のんびりと自分のペースで歩くことができた。
本堂には本尊の釈迦如来坐像が祀られている。靴を脱いで近くまで寄ってみることもでき、仏像さまと一対一で話ができているような不思議な感覚になった。
神聖な空気を感じる場所。
ここで急に悩み始める。
こういうところって写真撮っていいのかしら…?と。
近くに聴ける人もいないしやめておいたけど…写真では決して伝わらない空間が広がっているから、機会があれば実際に行ってみてほしい。
一本道を突き当りまで進むと一体のお釈迦さまが待っていてくれた。
「ここから先は天国への入口ですよ」
そんなことを言われているような気持ちに自然となる。
お釈迦さまを通り過ぎると見えるのが宝物館。
ここでは聖観音立像を公開している。お茶や数珠なども販売している。
観音様に手を合わせ、さらに奥に続いている道を進む。
左には白蓮舎。そばに白木蓮がたつことから名づけられた立礼茶室だそうで、現在は一般開放もしているらしい。
こんなところでお茶たてたり…なんて素敵だろうなぁ。一度も経験したことないけど。
ひっそりと佇むお墓
ここを過ぎると辺りの空気が変わる。
目の前にかなり背の高い杉が立ち並び、所々に墓が点在している。
女性専用(?)の桜塚と書かれた場所があったり、丸いお墓や塔のようなお墓など様々。
どうやら入口付近で見た石碑の作家田村俊子さんやほか著名人のお墓が入っているのだそう。
進めば進むほどジブリの世界に迷い込んでしまったみたいな空間になっていく。
お墓が並ぶエリアには、果たしてズンズンと入ってしまっていいものなのか…
関係者しか入っちゃいけないんじゃないかしら…
ってか、やっぱり写真は撮るべきじゃないよね…?
進んではみるものの、かなり動揺していたわたし。それでもこの空間をしっかりと感じたい。
そんな気持ちになっていたのは確かだった。
一番奥へ着くと階段が見えた。
後醍醐天皇の皇女で、護良親王の菩提を弔うため入寺した用堂尼のお墓らしい。
墓は洞穴の中にひっそりと構えてあって、雨上がりだったこともあってか周りのシダから水が滴り落ち、何とも言えない風情があった。
とにかく静かだった。静かすぎて自分がどこに来たのか一瞬忘れてしまうほど。
天国への入口はこんな空気感なんだろうか?とかそんなことをひとり悶々と考えながら階段を降りると、目の前にひとりこちらを見つめてくる女性がいてかなりビックリした。
ただこれから階段を登ろうとしていた人なんだろうけど、あまりにも唐突に現れたから驚いてわたしも見つめ返してしまった。笑
今思うと、向こうも向こうで静かな空間から突然人が現れてビックリしただけだったのかもしれないけど。
最後にひとこと
東慶寺を出るとすっかり涼しい気持ちになり、帰るにはまだ明るかったしもう少し歩くことにした。
歩きながら、現在を生きている自分についてとか色んなことを思った。
突然「縁切寺」の歌詞を思い出し、何気なく訪れた東慶寺。
季節が早く、まだアジサイや菖蒲が咲き誇る姿は見れなかったけど、かわりに静かに流れる時間と溢れんばかりに生い茂る緑に触れることができた。
同時に、当時の駆け込み寺のことを想う時間をもてたことで、行きたい時行きたい場所へ自由に行動できている今の環境に、改めて感謝しなおす旅になった。
東京都渋谷区にある清岸寺
東京都世田谷区にある豪徳寺
東京都渋谷区にある荘厳寺
思い付きの旅は予想をはるかに超えて貴重な経験ができたりする。
これだからひとり旅は病みつきになってしまうんだなぁ。
次はどこへ行こう。